真理と美咲に会ってから

真理と美咲の母の失踪は、警察による捜査は、困難をきわめていた。
何の手がかりも、つかめぬまま時を過ぎていくが、徐々に警察からの連絡も少なくなっていく。
自宅内全ての捜査をしようとする警察の姿は、真理と美咲にとって、とても嫌な光景であった。
警察官を見つめる真理と美咲は言葉をだす事なく、警察官の足に絡みつき離れようとはしない。
自宅内捜査が出来ない事を、警察官は叔父夫婦へ伝えたが、叔父夫婦も真理と美咲の二人の行動に戸惑うばかりだった。
叔父夫婦は、真理と美咲を預かろうとしたのだが、自宅の外に出ると途中で、どうしても農園にある自宅へ戻ってしまう。
精神科医師である叔父は、知り合いの教会の神父に会い、真理と美咲の今後の相談をする。
神父は真理と美咲に会ってから今後の事を考えましょう、早く二人合わなければ、と言った。
叔父夫婦は、「早く会わなければ」という言葉が気になっていた。
何故なら、精神診断では問題はなかったからだ。
そして叔父夫婦は、農園にある自宅にいる真理と美咲を迎えに行く。
真理は、素直に叔父の言う事を聞くが、外には出ようとしなかった。
美咲は、叔父夫婦の声かけに答える事
なく、自宅の部屋から離れようとはしなかった。
美咲は、部屋の押入れに入り、布団をかぶっていた。
叔母は、何度も声をかけるが、返ってくる言葉もなかった。
真理と美咲に会ってから
「美咲、一緒に行こうよ」
真理の小さな声かけで、美咲は押入れを出て、真理について行くようになると思った叔父夫婦。
しかし、真理は声をかけているだけで美咲に寄り添うだけだった。
農園にある自宅にいる真理と美咲を、叔父夫婦の自宅ではなく、何としても嫌がる二人を説得し教会ヘと向かわせようと思った。
真理と美咲は手と手を繋ぎ、ただ黙り震えているだけで動く事はなかった。
しかし神父の姿を見た真理と美咲は神父をじっと見つめ、神父は何も言わず両手を差しだすと、二人の瞳は笑みを浮かべ立ち上がる。
真理と美咲は神父の手に、二人が手を当てると立ち上がり、首を縦に振った。神父に何かを感じたような真理と美咲だった。
警察官は真理と美咲が自宅から外に出ると自宅内捜査を始めるが、何故か二人の姿を思い浮かべると捜査の途中でやめた。
警察官達は、何故途中で自宅内から離れたかは不明、神の思し召しかは全く分からないが何かに誘導されるかのようだった。
ただ、警察官が持っていたのは、フォトアルバムだけだった


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