瞬間だった

じゃあ明日、そのアメジストを絶対忘れないようにそこに持って来てください」
わ、わかりました、が???」
じゃあ、あたしは今日はこれで」
と言ってジェシカはグラスに1センチほど残っていたジンの液体をグイッと飲み干すと、前回同様釣りはいいと言う仕草で5,000円札をマスターに手渡し、そのまま、
明日、送れないでね」
とわたしに念を押すように言い赤い砂漠」を去って行った。
いつものことだけど???、風のように去って行ったなあ」
とマスターがわたしに向かってそうボソッとつぶやいた。
ああ。
例によって今日もわけのわからないままに、その続きは明日のお楽しみってことらしい」
俺にもさっぱり。
それよりもなんなんだ?その石」
これ?
ああ、これは???一種の空間移動装置って言うか?
まあタイムマシン機能もあるってことかな」
と、さりげなくボソッとつぶやいたわたしに、
は?」
と言ってマスターは眉間に深い皺を寄せながらわたしを見た。
冗談だよ」
と言ってわたしはそれ以上その内容についてマスターに語るのはやめておくことにした。
そしてそこにあえてこれと言った理由などはなかった。するとわたしは、それからすぐにこの状況を客観的に見ている自分に気づく。
確かに???、そうだ、待てよ。
自分たちはなんでまたこの世界に来るにあたり数日、いや正確には3日ほど未来へと飛んでしまったのだろうか?
そこにはなんらかの意味があるのではないか?
そんな疑問がふと自分の脳裏に浮かんだ瞬間だった、わたしがふとヒカルの方を見ると、彼女もまた何か言いたげな様子でこのわたしを見ていた。
そしてその彼女の口許には何か、ひとかけらの希望への兆しのようなものを見て取れた気がした。
フィオレンテ?」
そうわたしとヒカルの唇が一瞬重なるようにして動き、ふたり同時にそうささやいた。
と、その時だった???、わたしは再び遠い記憶の彼方へと意識が押し流されるのを感じ、そのまま例の、あのブラックアウトがこのわたしを襲った。
それから次にわたしの意識が戻り始めたと気づいた時、わたしはうつ伏せの状態で何処かの部屋の布団の上にいるようだった。
そして再び数秒ほどの記憶喪失状態の後、わたしは緩やかだが完全に意識が覚醒するのを自覚する

ここは????


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